おかげさまで弊社フラクタルも2期目(2021年10月〜)に突入し2ヶ月目を終えます。
今月11月に引き続き、来月12月も3桁万円の売上の継続が見込めており、この推移のまま年明けを迎えることができそうです。(クライアントの皆様、ありがとうございます!)
さて、最近になって少しずつ聞かれることが増えてきたのが「起業するならどの分野で、どういったものが良いか?」という話。
これは僕が何年も前にすでに考え方を持っていた話ですが、今となっては僕自身の体験と弊社に当てはめて話すことができるものでもあるので、数年前よりもはるかに説得力を持って説明できるのではないかと思っています。
まずは2択「伸びている業界」or「斜陽業界」を狙う
起業する場合、どういう業界で何をするのか?ということを考える際の一番大きな考え方は、
1、伸びている業界や領域を狙う(=川上に立つ)
2、斜陽業界を狙う
のいずれかが王道です。
1の「伸びている業界」は、今で言うとSaaS系などが思いつきますが、業界全体が拡大傾向にある際には、そこに立っている(プレイヤーとして居続ける)だけで自然と川上に立つことができるようになります。
自分自身が立っている足元のプレート全体が拡張している(参入プレイヤーが増える&顧客群も増える)ということなので、より商流を上流にするための努力は必要ですが、ビジネスの基本は「ポジションで8割決まる」ですから、どこに立っているかはとても重要なポイントです。
この話は、世の中一般的に起業をしたり、企業が新たな事業を立ち上げたりする際に多く語られる話なので、「言われてみると納得」と言う人も多いでしょう。
問題は2の「斜陽業界を狙う」と言う考え方。僕はどちらかというとこの考え方に近いです。
僕自身の人生哲学(もちろん経営的にもビジネス的にも重視していること)が「逆張り」です。
斜陽業界を狙うというのは一見すると天邪鬼的な発想に見えますが、きちんと論があります。
斜陽業界というのは、基本的に優秀なプレイヤーが存在しませんし、多くの場合は古くからある業界の場合が多いです。よく言えば伝統的ですが、悪く言えば「悪き習慣」に引っ張られているということです。
斜陽業界で働くプレイヤーも、あるいは個人であっても基本的には「業界偏差値が低い」ということがポイントです。
業界偏差値が低いということは、当たり前のビジネスレベル(もとい人間としてのレベル)が低いということ。
これは新たに参入するプレイヤーにとっては、その人が仮に少しでも既存プレイヤーよりもビジネスレベルが高ければ、圧倒的な差別化を図ることができるということです。
少し知恵を絞れば、少し品質を上げれば、少しサービスを良くすれば、ずば抜けた差別化を図ることができるのです。
例えば、外資系のコンサルティングファームや投資銀行を経て、チームで起業をする優秀な人たちは、この「斜陽業界を狙う」を意図的にやる人も多いです。農業系、飲食系、サービス業、あとはレガシーな労働集約型の業界などですね。
これは、もともとどの業界に行っても優秀だと言われる頭脳の持ち主の人たちが、相対的に業界偏差値の低い分野へ参入することで、一気に圧倒的な(比較されることもないくらいの)差別化を図れるという算段でしょう。
僕自身も顧客にコンサルティングを提供する際に、顧客が古い体質の業界や事業モデルの場合には、差別化ポイントを逆張りするという手段をよく使います。常套手段です。
例えば地域密着型のサービス業をやってきた企業が、多角化を狙って他のエリアや事業に進出をしたいという相談があった際には、逆に地域密着型のサービス品質を1.5倍に引き上げる、というようなことです。
地元の人たちにとっては、ぶっちゃけ地域の事業者がどこであれ、そんなに大差はないのです。
飲食店でもサービス業でも、そんなに差異はない。と、みんながそう考える中で、圧倒的な差別化を図っていくのです。
差別化と言っても難しいことはなく、例えばスタッフの言葉遣いやマナーを徹底するだとか、企業としてのレスポンスを2倍にするための仕組みづくりをするとか、その程度のもので十分です。
斜陽業界で戦う上でのポイントは、業界偏差値が低いことを逆手に取り、他の業界での基準をもとに知恵を絞る、ということです。
フラクタルの事業モデルは「ハイブリッド型」
以前から僕の頭の中にあり、あまり外に出したことがない起業の考え方が「斜陽業界を狙って」かつ「伸びている領域の手法を組み合わせる」というハイブリッド型です。社内メンバーにも開示するタイミングがなかったので、せっかくなので書いてみます。(出し惜しみをしていたわけではないのですが、開示するきっかけや話題がなかった)
斜陽業界を狙うというのは、僕自身が個人として実現したいと思っている「本を出したい」という、いわゆる出版業会を狙いたいということからも紐づいている話なので、本当にここ10年近くの考え方です。
弊社フラクタルで言うと、旧来型のコンサルティング領域を狙っています。
中小・中堅企業向けの経営コンサルティングの提供は、古くからある(と言っても日本ではここ20〜30年くらい)業界で、特に2000年代から一気に拡大した市場です。
上は外資系の戦略系のコンサルティングファームから、経営アドバイスや業務改善系のコンサルティング会社も無数にあり、昨今の市場として多いのはIT系のファームですね。ほぼSIer(システム会社)であっても「ITコンサルティング」を名乗れるくらいにプレイヤーが有象無象といる状態が今です。なんなら個人事業主としてのコンサルタントも数えきれないほどたくさんいます。
就活生の志望ランキングで最上位を占めていることからもわかるように、コンサルティング業界はこれから斜陽業界へ突入します。
ほとんどの事業者が「高級人材派遣化」していることからも、ビジネスモデルもほぼ飽和状態にあります。
コンサルティング会社のビジネスモデルの潮流は、大きく2つのトレンドがあります。
1つは旧来型の「戦略・戦術の提案」から「実行まで」へシフトしているということ。実行型の人員の要望が増えていると言うことです。これは小規模事業者から大手の戦略系のファームまで同じ構造です。これが高級人材派遣化。
2つ目は、多方面の機能の集約です。例えばデザイン会社を買収してみたり、SE(システム・エンジニア)を内省化してみたりと、1に紐づく形で「いろんなサービスを売れるようにする」という構造を目指しています。
いずれの場合も、多くの社員を抱える(もしくは提携先を増やす)必要があるため、経営的にはどうしても「数の原理」に走る必要があります。ようは「営業機能の強化」が何よりも重要になってくるため、実際にクライアントの現場でコンサルティングを提供する人員の質は下がり、年齢は若くなり(人件費を抑える)、形式化されたアウトプットになってくるのです。
弊社の考え方は、これとは逆にするという発想です。
数を増やすのではなく、顧客の満足を上回る「プラスアルファの感動」を、業界水準よりも一歩、知恵を絞るのです。
コンサルティング会社で「トップコンサルタント」と呼ばれる人には、構造的な矛盾があります。
トップコンサルタントというのは「稼いだ粗利額」で評価されることが常であり、それは例外なく「社内からの評価」です。
社外からではなく社内の表彰であり、つまりは「トップセールスマン」であるということです。
トップセールスマンが集めてきたプロジェクトを、若いメンバーが馬力で担保する。コンサルティングの事業モデル上、この構造から抜けられないのです。
この矛盾にこそ、ヒントがあるのです。
フラクタルの場合は、社内に社員を抱えるのではなく、業務委託で優秀なメンバーと一緒にプロジェクトを行なっています。
メンバーはそれぞれが各業界で新しい領域に現在進行形の職務として触れているため、冒頭に書いた「1、伸びている業界や領域」のことを知っています。
社内に抱えない(=業務委託で優秀な人員を担保)することで、コンサルティングサービスの構造矛盾の解消ができ、昔からの慣習に対する知恵を投下することができるわけです。
この「経営に関わる優秀なメンバーを、業務委託で担保する」という考え方は、間違いなくここ数年で一気に広がります。そういう仲介を行う事業者も増えてきた。
でも、コンサルティングサービスを提供する企業自身がその経営モデルを取りつつ、顧客への提供としても行なっているという領域は未だ多くはありません。気づいている経営者はいるかもしれませんが、結局は「マッチング」サービスになるわけです。
事業の規模を求めるとマッチング型へ移行することは合理的ではありますが、弊社としてはそこにアプローチすることで価値を出したいと考えています。
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「起業」をもとに、新たな事業を作っていく考え方を書きました。
このブログを読んでくださっている方の中には、これから独立や企業を考える人もいるでしょうから、大々的な「起業するぞ!」ではなくまずは個人の足元で稼いでいくという考え方を次回、書いてみようと思います。
読んでくださって、ありがとう。
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