「どうせ…」の諦めを打ち破る。全等級面談で掴んだ本音から生まれた自立経営の人事基盤

  • 大手航空会社グループ子会社
  • 業種:航空運輸業
  • 従業員数約700名、売上高約800憶円

お取り組み背景

長らく、経営層や部長職以上を親会社からの出向者が担ってきた企業様で、育成や人事は親会社の仕組みに依存しており、「自社としての育成・人事の基盤」は未整備の状態でした。

しかし、親会社の経営方針変更、および親会社側の人材不足から、「自立経営」を強く求められることとなったことで、管理職をプロパー社員で埋める必要があったり、上層部を育てる必要性が高まったことをきっかけに、フラクタルへご相談をいただき人材要件や研修要件の整理を支援いたしました。

プロジェクトポイント

単なる制度改定に留まらず、全社員の納得感を最優先に進めらるために、現場の「本音」に徹底的に寄り添いながら支援を行いました。

  • ポイント1:中期計画を起点とした逆算的なアプローチ

    プロジェクト着手にあたり、まずは3年間の「人事中期経営計画」を初期要件として策定。目先の課題解決だけでなく、中期的な視点で目指す姿(プロパー人材が本社や他社への異動・活躍も視野に入るレイヤーを構築)を明確にし、これを起点に施策を逆算して進めました。

    また、プロジェクト名も「会社の顔となるような、新卒社員があこがれるような・・・」といったフレーズを用いることで、全社員にとってキャリアが明るくなる期待感を醸成することに注力しました。

  • ポイント2: 全階層へのアンケートと個別面談による徹底的な「本音の把握」

    プロジェクトを進めていくにあたり、一緒に取り組むプロジェクトメンバーからも、「どうせ上層部は変わる」「努力しても報われない」といった諦めムードが蔓延している違和感がありました。このネガティブな温度感を無視して制度を作っても、浸透はしないと判断し、全等級の社員に対し、アンケートと個別面談を実施しました。

    面談は、オンラインもありつつ、できるだけ実際に本社へ赴き対面1on1で対話をし、「なぜ入社したのか」「今どう思っているか」などを丁寧に聞き出し、構える社員の方にも寄り添いながら、それぞれの階層が会社に求めていることや、風土、現場の本音を深く理解することから始めました。

    結果として、上層部が想像していた以上に社員のモチベーションが低いことや、キャリアに対する期待値が低いことがわかり、この現場のリアルな温度感をボードメンバーに伝え、施策の必要性を強く訴求しました。

  • ポイント3:現場に即した「人材要件・等級定義」と育成プランの構築

    中長期計画と現場へのアンケートや面談結果から、本企業様にあわせた人材要件や等級定義を行いました。 人材要件は、自立経営を担う企業として、事業運営に必要なスキルを言語化し、現場の風土と掛け合わせ、「この会社が求める人材」の要件を明確化することや、定義した人材要件に即した等級の枠組み(人材ポートフォリオ)を作成し、今後の採用・育成のベースを整えました。

    また、既存の親会社ベースの評価項目も、大枠は維持しつつ、文言修正などを「優しい修正範囲」に留め、変更による負担を最小限に抑えるなど、実際に運用する現場の負担を最小限に抑えるご提案を行いました。

    そして、人材要件を満たすために必要な「ビジネススキル」を細分化し、各等級に不足するスキルを補うための研修要件と育成プログラムを策定しました。既存研修の洗い出しに加え、現場の「本音と建前」を深くヒアリングし、「受けてみてどうだったか」という肌感覚まで把握したうえで、新しい研修の方向性を提示しました。

成果

結果、企業として初めて、自社の人材計画、人材ポートフォリオ、体系立てた育成プランの基盤を約4ヶ月で構築。将来の自立経営に向けた確かな一歩を踏み出すことができました。

また、現場のネガティブな空気感を経営層に伝え、全社的な危機意識と施策への納得感を醸成し、最終的には親会社の承認も得て、計画策定に留まらず、今後の採用・育成プログラムの実働支援までを担うパートナーとしてご評価いただきました。そして、これまでにはなかった「プロパー初の上級部長職位」を目指すことができる、明るいキャリアパスの方向性を示すことができ、将来的な採用要件の見直しにも繋がる基盤の作成の支援まで行うことができました。

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